※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
老人ホーム選びの経緯
今回のケースは呼び寄せとはじめて老人ホームを選ぶご家族がホームに感じた違和感について書いています。
当サイトのフリーダイヤルにかかってきた一本の電話は弦巻にお住いの娘さまからでした。
現在、川崎にお住いのお母さまが年々と弱っていくことから独居ではなく施設で面倒を看てもらいたいというご相談です。
長年住み続けている川崎の実家を離れることに抵抗されていたお母さまですが、誤嚥性肺炎で入院し、認知機能の低下によりおひとりで生活することが困難になり始めていました。
当初は娘さまのご自宅で在宅介護を予定しておりましたが旦那さまが難色を示したこと、お子さまが在宅介護についてネットで調べて一緒に暮らすのは嫌だと拒否を示したことから老人ホームにお願いすることを決定されました。
お母さまに老人ホームに入ることを相談すると最初は拒否をしていましたが同居が困難であることを丁寧に説明し、娘の心配する気持ちも考えてほしいと伝えたところホームでの生活に納得されたそうです。
娘さまは弊社の無料相談にお問い合わせいただく前に、インターネットを使っていろいろな施設を探されておりました。
その中でいくつかの施設にも見学に行かれていました。ところがどの施設も娘さまの希望を叶えるものではなかったそうです。
そこで老人ホーム紹介会社に施設選びをお願いすることにされました。
お母さまのADL(日常生活動作)
ADLとは人が生活する上で必要な動作の意味で英語で表現すると以下となります。
Activities of Daily Living:毎日の生活の活動(直訳)
必要な動作とは5つにまとめることが出来ます。
・着替える(更衣)
・食事をする
・トイレ(排泄)
・お風呂に入る(入浴)
・歩く(移動)※車いすや歩行器を含む
お母さまの現状をまとめました。
更衣:下半身の着替えは難しくなってきている
食事:普通食で自立
排泄:排泄後に便が手につく、便器が汚れるなどが確認されている
入浴:足元がふらつきしりもちをついた過去アリ
移動:歩行器使用
認知機能が低下してきていることから今後、転倒などが発生しやすい状態であると言えます。
下半身の着替えが難しこはとは、転倒するリスクに繋がります。また排泄が不自由になると時間の経過により、ご自身で排泄制御ができなくなりトイレ以外での排泄につながる可能性があります。
入浴についても同様で入浴動作中に転倒してしまうリスクがあります。
以前に誤嚥性肺炎を発症してることから食事についてもこのまま安心とは言えません。
認知症は発症しておりませんが今後何年も独居を続けることには一定のリスクがあると言える状態です。
老人ホームに持たれていたイメージ
娘さまと面談を行い感じたのは、老人ホームに対して不信感を持っていることでした。
この点をあいまいにすることは得策ではありません。なぜ、施設に対して不信感を持っているかについて深堀りする必要があります。
娘さまにインターネットや知人を通してどのようなリサーチをしたのかヒアリングしました。すると、老人ホームに関するネガティブな口コミなどが強く印象に残っていることがわかってきました。
口コミなどは良いことよりも悪いコメントのほうが心に残ります。そしてそれが全てであるかのような認識を持ちやすくなります。
娘さまは介護士が施設で起こした凄惨なニュースや老人ホーム選びに失敗した口コミなどから老人ホームに悪いイメージを持っていました。
介護は日進月歩で理論も実践も進化しております。確かに以前は入浴の際にご入居者を横一列に並べてシャワーをかけるような入浴介護もありました。
本来オムツが必要ないにも関わらず強制的にオムツにするような時代もありました。
徘徊がひどい場合などは夜勤時に居室にカギをかけて出られないようするといったこともありました。
しかし今ではそれらすべての行為が「虐待」といわれるようになっています。
現代介護では自立と尊厳を一番に重んじます。
できることはやってもらう
そして、
人間の持つ尊厳を尊重する
ことが求められ多くの施設はしっかりと実践しています。
決して怠慢なわけでは無いのです。
その点を理解していただき娘さまにとって最適な老人ホームを探すことが相談員の仕事と理解しました。
老人ホーム選びの条件とその理由
娘さまに施設を探す際の条件を伺ったところ必須条件と十分条件がわかってきました。
◆必須条件:
・弦巻のご自宅から車で30分圏内
・月額費用が40万円以内
・介護付き有料老人ホーム
・看取りまで面倒を看てもらえる
・アクティビティがしっかりしている
・スタッフの質が高い
・居住スペースや設備が清潔に保たれている
◆十分条件:
・24時間ナース常駐
・認知症のご入居者が少ない
・出来て10年以内の建物
かなり細かい条件が出てきたことが気になり少しお話を伺いました。すると、ご自身で施設選びをあきらめた本音が見えてきました。
娘さまは以前にご自身でいくつかの施設で見学をされて気になっていることがありました。それが以下です。
・ご入居者の服に便と思われる沁みがついたままの施設があった
・共有部トイレの便座や便器に便が付着しており清潔とは言えない施設があった
・スタッフがご入居者を下の名前で呼ぶことが当たり前のような施設があった
・立ち上がろうとするご入居者の肩を抑えて無理やりに座らせるスタッフがいる施設があった
・敬語とは言えない話し方でご入居者に接しているスタッフがいる施設があった
・若いスタッフがご入居者を子供扱いしている施設があった
私はお話を伺って驚きが隠せませんでした。なぜなら、見学でここまでのことを見ることが出来たというのは相当な前知識があったはずだからです。
はじめて老人ホームを見学に行かれるご家族の多くはここまで目が届きません。
特に共用部のトイレやご入居者の衣服にまで目を配るようなことはできないものです。
娘さまに見学の注意点など事前に調べていたのかをお伺いしました。
すると弊社で過去にアップした記事を全部読まれており見学時の注意点ページをメモされていたのです。
娘さまが特に気になったのがスタッフのご入居者に対する接し方だったそうです。
現職で働かれており部下を何人も持つ娘さまにとってそれは違和感でしかなかったそうです。
娘さま「自分よりも何倍も生きているご老人に対してまるで友達であるかのような接し方というのは高齢者に対して失礼だと感じています。」
娘さま「ウチの会社で部下があのような発言をしたり、協力会社の年配者に対して同様の扱いをすれば厳重注意ではすまないかもしれません。」
娘さま「母は仕事にこだわりを持っていた人です。そのような母ですから自分のことを子供扱いされたり、下の名前で呼ばれることには耐えられないと思います。」
娘さまが見学で観たことは今の介護現場ではNGとされていることです。それが見えてしまう介護施設があることに寂しさを覚えました。
同時に娘さまが期待されている施設について理解することが出来たので施設探しを開始いたしました。
弦巻は田園都市線の桜新町駅から経堂方面に向かったエリアで閑静な住宅街です。
近隣には特養から介護付き有料老人ホームまでたくさんの施設があり、比較的新しい施設が多いのが特徴です。
また大手から中堅、小規模介護施設までそろっており、道路事情が整備されていることから車で30分圏内であればかなりのエリアをカバーできます。
相談員として必須条件、十分条件に合わせてスタッフの教育システムがしっかりとしている施設をプライオリティとしてリストを構築しました。
施設の見学と入居
1週間ほどの時間をいただきリストが整ったところで面談のお時間をいただきました。
弦巻のご自宅で用意した資料を基に説明を行ったところ2施設に対して見学依頼をいただきました。
早速、日程を調整し2施設に見学希望シートを提出し見学の段取りを取りました。
当日は私も同行し施設の中を見学しました。
どちらの施設もスタッフ教育に力を入れていますが大きな違いがあります。
A施設は大手の介護付き有料老人ホームでB施設は小規模施設です。
大手ホームは身体介護だけではなくご入居者に対する接し方について定期的に研修を行いスタッフ全体の質の向上に取り組んでいました。
また、施設ごとにスペシャリストを作り上げることに重点を置いているため同じ施設での就業年数が長いスタッフが多いという特徴を持っています。
小規模ホームは大手で長年介護現場に従事してきた人材を積極的に雇用しており大手ではどうしても難しい細かい点を重視する介護を目指している施設です。
コンセプトはそれぞれ異なりますが見学で見るべき点は一緒です。
共用部のトイレや入浴場の清潔さやニオイ、スタッフの対応などを確認しながらの見学となりました。
見学にはお母さまも同席されておりご自身なりの見学意識を持たれていました。
見学が終わり娘さまのご自宅で見学に関する感想についてお話を伺う時間をいただきました。
娘さまはどちらの施設も条件をクリアしており満足しているがあえて言うなら大手が良かったと回答されました。
お母さまに伺ったところ正直、優劣は付けられないといったご様子でした。
その場で回答するのではなく母娘でゆっくりと話してから結果がでたらご連絡ください、とお伝えしました。
それから5日ほどして娘さまからご連絡をいただきA施設への入居で手続きを進めて欲しいとのご連絡をいただきました。
決定の理由はA施設の見学時にエレベーターを利用した際、その場にいたあるスタッフがエレベーターのドアが閉まりスタッフが見えなくなるまで手を前に組み、お辞儀をしていたからだそうです。
どこの会社でも当たり前のように行われているこうした挨拶を当たり前のように行えるスタッフがいる施設ならば安心して母をお願いできる、との判断だったそうです。
ほどなくして入居日が決定し入居日には私も同行いたしました。
少し不安な顔をされていましたが後日、お母さまが施設で積極的にアクティビティに参加されていることやそこでの生活を楽しもうとされていることを教えていただきました。
それを以って今回のケースをクローズとしました。
弦巻で老人ホーム入居先を探している方へ
世田谷区は都内23区でも突出して老人ホームが多い区です。
インターネットで調べればすぐに10や20の施設が出てきます。
たくさんある老人ホームの中から適切な施設を選ぶのは選択肢が無い状況よりも難しいものです。
どうしても判断がつかないようなときはショートステイなどを使って実際に施設を利用することも適切な老人ホーム選びでは必要だと考えます。
それでも決定に対して不安を持たれているようであれば弊社の無料相談をご検討いただければ幸いです。
当社では老人ホームの選び方やご入居に関するあらゆるご相談について完全無料でサポートを行っております。
入居相談員は全員、介護資格を持っており介護施設で働いてきた経験を持つ介護士です。
適正な施設の選び方、アセスメント、契約に関するサポートなど老人ホーム入居に必要な手続きに対して無料サポートを行っております。
またサポートについては一切の費用を頂いておりません。
ご入居後に成功報酬を求めたり、紹介施設にご入居頂かなくても違約金などを頂くこともございません。
これから老人ホームを探そうと考えているご家族さまは一度、お問い合わせいただければ幸いです。
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