※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
下北沢で訪問リハビリを続けるお母さま
今回は世田谷区を中心に訪問リハビリを行っているPT(理学療法士)さんからご紹介をいただいたご家族さまが老人ホーム探しを始めたケースとなります。
現在87歳になるお母さまは骨折が治り、ご自宅で訪問リハビリを利用されています。
お母さまは独居でご家族さまはご実家から30分圏内に住まわれています。
病院でのリハビリは辛くて楽しくないと言われていたそうですが、訪問リハビリを利用するようになってから誰にも気兼ねすることなく自宅でリハビリが出来るらしく、リハビリを愉しんでいるということでした。
しかしADLが下がり、ご自宅で転倒することが増えてきました。
訪問リハビリを行っているPTさんがそのことについてご家族さまに説明をすると、ご家族さまは施設への入居検討をはじめられたそうです。
お母さまは娘さまとの同居を希望されたのですが、家族内での了承が得られず、老人ホームへの入居となりました。
そのような背景があり、PTさんから当社へご紹介が入りました。
世田谷区の下北沢は若者の街のように言われますが昔から住まわれている方も多く高齢者が多く住む地域でもあります。
初回はPTさんと私の2人でご家族さまのご自宅にお伺いしヒアリングを行いました。
今の理学療法士が訪問できることが絶対条件
ヒアリングで分かったお母さまの現状をまとめます。
食事:普通食(通常食)
歩行:歩行器
排泄:自立
更衣:自立
義歯:ナシ
認知症:ナシ
認知症は無く食事、排泄、入浴、更衣については自立しています。
最近になり筋力が落ちて歩行が不安定になり転倒の危険性を回避するため、見守りが出来る高齢者施設への入居を決意されていました。
施設のリストアップにあたり必須条件と充分条件をお伺いいたしました。
◆必須条件
・現在利用している訪問リハビリが利用できること
・外出自由な施設
・月額利用費:年金+8万円まで
・すぐに入居できること
◆充分条件
・看取り対応している施設
・大手が運営している介護施設
4項目の必須条件が挙がりましたがお母さまが絶対に譲れないのが「現在利用している訪問リハビリ」が継続的に利用できることでした。
転倒リスクを考えると今すぐに入居できる施設を探してほしいということがご家族さまからの必須条件でした。
パンフレットだけでは足りない、老人ホーム探しの難しさ
ヒアリングを進めていくうちに色々なことがわかってきました。
実はご家族さまは最寄りのあんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)に相談されていたのですが、老人ホーム探しは行っていないと言われ、その場に置かれていた紹介会社のパンフレットを持ち帰ったそうです。
紹介会社に相談をすると、下北沢近辺にある老人ホームのパンフレットが大量に届いたそうです。
パンフレットを見ても施設の概要しかわからず困っていると担当者から、とりあえず見学をしましょうと何度も言われたそうです。
見学前に各施設のことが知りたかったのですが担当者からは、
担当者「施設の事はパンフレットに書かれているので読んでください。それでも分からなければとりあえず見学に行きましょう。」
を繰り返すばかりだったそうです。
そこでPT(理学療法士)さんに相談をしたところ、当社が呼ばれたという経緯があることもわかりました。
インターネットで下北沢の近くにある老人ホームを調べたそうですが、パンフレットに書かれている情報と大差なく、口コミもあったり無かったりで、どの施設がお母さまに最善なのか分からないということもご家族さまが老人ホーム探しで困っていたことでした。
住宅型有料老人ホームとサ高住
今回のポイントは「現在利用している訪問リハビリを継続して利用できること」にあります。
この条件を満たすことが出来る施設は以下となります。
・住宅型有料老人ホーム
・サ高住(サービス付高齢者向け住宅)
どちらの施設も外部の介護サービスが利用できるため、お母さまの条件を満たすことが出来ます。
同時に、今回のケースで対象外となる施設がこちらになります。
※各施設については「施設の種類」にて細かくご説明を行っております。
・老健(介護老人保健施設)
・特養(特別養護老人ホーム)
・グループホーム
いずれの施設も施設内で介護サービスを提供しており介護保険適用となるため、外部の介護サービスを利用することが出来ません。
訪問リハビリを継続的に利用するためには、外部の介護サービスを利用できる必要があります。
対象外とした施設でもPTが常駐しているならサービスを受けられるではないか?といったご質問が予想されますが今回の件では対象とはなりません。
なぜならお母さまは今の理学療法士とリハビリを続けたいからです、PTならだれでも良いということではないのです。
また、介護保険を利用せず全額自己負担であれば対象外施設でも利用できますよね?というご意見もありますが負担額の増加を考えれば現実的ではありません。
介護付き有料老人ホームも別契約にて対応できる場合もあります。しかし今回のケースでは予算内で即入居可能な施設がありませんでした。
見学前に抑えるべきポイント
世田谷区は都内でも老人ホームが多いエリアです。
下北沢は都心から神奈川県方面に向けて京王線、小田急線が伸びており、京王井の頭線も走っております。
さらに、バス網が充実しているため交通の利便性が良い地域です。
従ってご家族さまが公共の交通機関を使うことを想定しても広めのエリアで探すことが出来ます。
それは老人ホーム探しにおいて大きなメリットになります。
必須条件については問題ありませんでした。さらに看取りについてもリストにまとめることが出来ました。
リストをまとめ上げる前に、充分条件にある「大手が運営している介護施設」についてご家族さまの意思を確認する必要がありました。
ご家族さまに当該条件の意図をお伺いしました。
すると以下のような回答をいただきました。
ご家族さま「大手の介護業者は入居者さんの状況に合わせていろんな施設を持っていますよね。母が元気なうちは良いのですが、いろんな介護や医療が必要になった時には状況に合った施設に転居できると思ったからです。」
間違ってはいません。
しかしご家族さまの想いそのままというわけにはいかないことも説明しなければなりません。
例えば、入居している大手の施設のすぐそばに系列の介護付き有料老人ホームを持っていたとしても空きが無ければ入居できません。遠くの系列施設しか空いていなければ面会に行くのも大変になります。
また、大手であれば24時間ナースが常駐している施設などもあります。しかし都内のメディカルホームは料金も高く、空きが少なく待ちになってしまうこともあります。
まずは企業規模にとらわれずに見学をしていただくことをアドバイスいたしました。
見学で大切なこと
今回のリストは世田谷区で評判が良いと言われている「住宅型有料老人ホーム」と「サ高住(サービス付高齢者向け住宅)」を中心に作成しました。
興味のある施設が3軒ほどありましたので見学依頼を作りました。
当日は、お母さまとご家族さまと見学に伺いました。
87歳の年齢で、1日3件の施設を見るのはとても大変ですがお母さまは嫌な顔せずに見学されていました。
全ての施設見学が終わった後、感想を伺う時間をいただきました。
お母さま、ご家族さまからたくさんのご意見が出ました。
相談員として調査すべき質問などもありましたので持ち帰り対処しました。
5日ほどしてご家族さまから、リストにあった別の2施設についても見学に行きたい、というご相談を頂きました。
すぐに見学依頼を取り、追加の2施設についてもお母さま、ご家族さまと一緒に回りました。
2回にわたり合計5施設を見学しました。
それから10日ほどしてご家族さまからご連絡をいただきました。
見学した5施設の中から、ある住宅型有料老人ホームへの入居を希望されていました。
決定の根拠についていただきましたが、記事ですべてを載せないという条件がありますので許可をいただいた範囲でまとめました。
◆施設決定の理由◆
・お母さまが気に入った
・施設内の共用トイレが清潔
・バスルームが広く利用しやすそう
・働いているスタッフさんの言葉遣いが丁寧で自然だった
・料金面で納得できた
お母さまは見学時にご入居者を良く見ておられました。この施設ではご入居者とお話をするような場面もありました。
お母さまが、この施設であれば入居しても良い、と話をされたことが決定の理由の一つでした。
スタッフさんの言葉遣いについてはご家族さまが気にして見学されていました。
言葉遣いが一番自然で安心できた施設に決定されていました。
ちなみに、いくつかの施設のスタッフさんの敬語に不自然さを感じたそうです。
不自然であるということは。普段ご入居者に接している言葉と違うのではないか、と思ったそうです。
ご入居を希望される施設が決まりましたのですぐに、先方に連絡をしご入居の段取りをつけました。
ご入居まで何の問題もなくスムーズに進みました。
ご入居した施設についてはご家族さまから場所の特定が出来ないような範囲で記事にしてほしいという意向がありますのでエリアの記述は行いません。
最後に今回の施設決定の根拠になっている、老人ホームで働くスタッフさんの言葉遣いについて少し書いてみたいと思います。
※今回の施設とは関係がありません。
言葉遣いは老人ホーム全体の課題
どの老人ホームでも言葉遣いについては施設長が頭を悩ませています。
よそよそしくなることを避けるため、敬語を使わないことが許容される時代がありました。
今は介護士に限らず施設で働く全従業員に正しい言葉遣いが徹底されています。
それでもタメ語になってしまうスタッフがいることは事実です。
ある施設長がこんな話をしてくれました。
施設長「ベテランになればなるほど敬語が崩れてしまう傾向があるんですよ。気づいた時は必ず直すように指示を出しますが、関係値が出来ているからこれで良い、と思ってるスタッフもいる。
でもそれは違います。仲が良いからといっても友達ではないんです。お金をいただく立場と、支払う立場をわきまえる意味でも敬語は徹底しなければダメなんですよ。
もしウチのスタッフの言葉遣いがおかしいと思った時は教えてください。」
さらに、
施設長「ベテランスタッフの言葉遣いが新人に影響を与えてしまう。最初こそ丁寧な言葉遣いをするんですが、半年もするとタメ語になってしまう新人スタッフがいる。
ベテランの接し方を学んでいくうちに、言葉遣いがつられてしまうんです。
ご入居者は人生の大先輩です。敬語を使うことで大先輩に対する尊敬を学ぶことができます。言葉が崩れてしまうとご入居者を友達と錯覚するし子供扱いにもつながります。だからウチでは徹底して言葉遣いについて指導しています。」
私が施設で働いていた時にもこの傾向は顕著でした。
紹介会社として外から施設を見るようになってからは、さらに言葉遣いの大切さを感じます。
今回のケースでも決定の根拠の一つが「言葉遣い」でした。
今回のケースに限らず、見学されたご家族さまのほとんどがスタッフさんの言葉遣いを気にしています。
素晴らしいレクリエーションを行っていたり、連帯感の強いチームを組み上げている施設はたくさんあります。
そのような高いクオリティを持つ施設でも、言葉遣いがおかしいだけで施設候補から漏れてしまうのは残念です。
あるご家族さまから、転居相談を頂いた時のことです。
転居理由を書いておきます。
あるご家族さま「ウチの母は90年、自分の人生を生きてきました。その母に孫よりも若い年齢の方が友達言葉で話しかけるのは納得できません。
母を子供扱いしているようしか見えません。
母は子供ではありませんし、高齢者に対して尊敬を持ってる方が働いているのが介護施設だと思ってましたが違うんですね。
母が可哀そうです。」
見学で介護士の言葉遣いをすべて確認することはとても難しいことです。
しかし、施設の雰囲気を確認することが出来ます。
例えば、介護士同士が仲良さそうに話をしているのは一見するとチームワークが整っていると思えますが、なあなあになっているという見方もできます。
また経験上、ベテランスタッフの言葉遣いが友達言葉の場合、下にいるスタッフも友達言葉になる傾向があります。
長年、介護士として現場で働いてきた経験から見学時に言葉遣い問題をどうみるかは理解しています。
当社の相談員は全員、介護資格を持つ介護士です。
パンフレットや見学では見えにくい施設の日常について見抜く力を持っています。
老人ホーム選びに悩まれているご家族さまやこれから老人ホームを探そうと検討されているご家族さまは一度、当社までお問い合わせいただければ幸いです。
尚、ご利用に関して費用が発生することはございません。
当社が紹介した老人ホームにご入居されなくても問題ございません。
アドバイザーとして少しでも最適な老人ホーム探しのお手伝いが出来ればとの思いから無料相談を開設しております。
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