※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
認知症が進行したお義父さまの在宅介護
LINE相談にご家族さまの介護方針に関してアドバイスを求めるご相談を頂きました。
現在、長津田にお住いの奥さまは次男である旦那さまの実家で、認知症のお義父さまと同居されています。
お義父さまの認知症はかなり進行しており日常生活自立度判定でいうところのⅣ相当でした。
Ⅳ相当とは一般的に以下のような症状が確認できる状態です。
・日常生活全般に支障がある状態
・意思疎通が困難
・身体介護が必須である
具体的な例をご説明します。
・着替え、食事、排泄で介助が必要である
・徘徊や誤食(食べ物ではないものを口に入れるなど)、誤飲(整髪剤などを飲もうとするなど)
・すでに他界している人が生きているように話し、会いに行こうとする(見当識障害)
・時間や場所の感覚がない(見当識障害)
お義父さまの認知症が進行し奥さまは長年勤めていたパートを辞めて在宅ケアを頑張っていました。
お義父さまはテーブルの上にある新聞や箸置きなども口にしてしまうため食事の時間でも気が抜けませんでした。
また、不安定であるとはいえ自立歩行も可能なため、オムツを脱いで便まみれの状態で家を歩き回ることもありました。
意思疎通はすでに困難なレベルであり、発語については4,5つほどの単語を発する感じです。
奥さまが注意をしても理解することは難しく、徘徊を発見しお部屋に連れ戻してもすぐに部屋の外に出てきてしまうなどが確認されています。
徘徊にいち早く気づくため、お義父さまの部屋のドアにセンサーを取り付け、ドアが開くとメロディが鳴るようにしていましたが、それが奥さまのストレスを加速させることになってしまいました。
昼夜逆転しているお義父さまの徘徊は主に夜11時から4時頃に発生していました。
真夜中に寝ていると突然メロディが鳴り出すことが頻発し、奥さまはその度にお義父さまの徘徊を止めに行っていました。
半年ほどすると、いつメロディがなるのか不安で浅眠となってしまい、恒常的な寝不足になっていました。
次男さまもいつメロディがなるのか考えると不安になりストレスが強くなっていました。
ヒアリングからご相談者さまが介護限界に近いと判断しました。
それでも育ての親を施設に入れたくないという想いを持つ次男さまと、早くにお父さまを亡くされている奥さまにとってお義父さまのケアをすることは苦労ではなかったのです。
しかし、状況が変化します。
久我山で独居のお母さまが転倒→骨折
奥さまのお母さまは世田谷区の久我山で独居生活を楽しんでおられました。
認知症はなく自立しており、ご主人さまが亡くなられた後、娘さまの子育てが終了してから約25年ほど独り暮らしをされていました。
家族関係は良く、ラインを使って家族とコミュニケーションを取られていました。
そんなお母さまですが家の階段を踏み外して転落、大腿骨を骨折してしまいました。
入院しリハビリを行った結果、半年ほどしてご実家に戻ることはできましたが、独居に不安を抱えるようになってしまいました。
骨折した恐怖から一人暮らしに不安を抱えるようになり毎晩、奥さまに電話をかけるようになっていました。
それまで気丈に振る舞ってきたお母さまが弱音を言うことを心配した奥さまは週に一回、お義父さまの介護の合間にお母さまのご様子を見に行くようになりました。
お母さまはお一人で暮らすことに不安を持っていますが奥さまはすでにお義父さまと同居しており、長津田のご自宅にお母さまが住むスペースはありませんでした。
女性ひとりで子供を育て上げたお母さまがこんなに弱くなってしまうなんて、と奥さまは居ても立っても居られない気持ちになったそうです。
ご主人さまに、お義父さまのケアもこれまで以上に頑張るので、お母さまについても何とかしたい、と相談したところ老人ホームの入居アドバイスをしている当社のパンフレットを渡されたそうです。
ダブルケアは距離的にも時間的にも困難
お話を伺いまず現状を整理することから始めました。
◆現状整理◆
【お義父さま:**歳】
所在地:長津田の次男さま宅で同居
食事:きざみ食
歩行:自立※
排泄:全部介助
更衣:全部介助
義歯:上義歯
認知症:アリ
介護度:要介護3
補足:
・認知症レベル(日常生活自立度判定基準Ⅳ相当)
・誤食の危険性アリ
・昼夜逆転
・徘徊アリ
・意思疎通困難
【お母さま:81歳】
所在地:久我山で独居
食事:普通食(通常食)
歩行:自立
排泄:自立
更衣:自立
義歯:ナシ
認知症:ナシ
介護度:自立
補足:
・一人暮らしに不安を感じている
・出来れば実娘と同居したい
◆懸念点◆
・お母さまのご自宅(久我山)と奥さまのご自宅(長津田)で距離がありすぎて何かあった時にすぐに駆け付けられない
・お義父さまの在宅介護をしているため、長津田のご自宅にお母さまを呼び寄せることができない
・お義父さまの介護にかかりきりの現場から、お母さまの面倒を看ることが出来ない
・二人を老人ホームに入れるだけの予算は無い
◆どうされたいのか◆
・お義父さまのケアをしつつお母さまのご様子も確認し何かあった時にすぐに対応できるようにしたい
・老人ホーム入居は検討しているがどのようにすればよいか分からない
・老人ホームに誰を入れるべきか決められない
相関図を作りました。
老人ホーム探しの前に
お話を伺い、ダブルケアは物理的な距離もあるため難しいと思いました。
訪問介護を使ってお母さまのケアをすることは可能ですが、お母さまの真意が独居不安であるならば訪問介護の利用は根本的な対策にはならないからです。
また、お母さまは実娘さまと一緒に暮らしたいという想いもあります。
しかし、お義父さまとお母さまのお二人が同じ家に住むことは物理的にできませんでした。
ご夫婦はお義父さまかお母さま、どちらかおひとりを老人ホームにお願いすることを検討されていました。
施設探しの前に次男さまと奥さまに訪問介護を使うケアについてお話をしました。
すると、訪問介護については検討したが何かあった時にすぐに駆け付けることが出来ないというのが不安です、ということでした。
お母さまとしてもそばに家族がいる事を望んでいるため、訪問介護ではそれが満たされないという問題点も出てきました。
やはり想定通りでした。
そこで、老人ホーム入居を検討されるのであればお義父さまかお母さま、どちらが入居対象者になるかをお伺いしました。
このようなケースではどんな些細なことでも確認をすることが大切です。
ご家族さまとしてはその点について決めきれていないご様子でした。
そこで、老人ホーム入居をご検討するのであればまず、ご入居する方を決めるところからスタートしてはいかがでしょうかとご提案しました。
ご家族さまが出した決断とは
このようなケースではどちらが適切かといった提案を入居相談員がすることはありません。
ご家族さまが決断をするのを待つことが大切です。
なぜなら、現状を一番知っているのはご家族さま自身だからです。
1週間ほどして奥さまから改めて時間を取ってもらいたいとのご連絡を頂き当社の渋谷相談窓口でヒアリング時間を設定いたしました。
当日は奥さまが来られました。
そこで奥さまから、老人ホームにお願いするのはお義父さまであることが伝えられました。
実は当初、お母さまをご自宅のある長津田に呼ぶ、呼び寄せが検討されていました。
お母さまが住む久我山のご実家を売却して奥さまが住む長津田の近くにある老人ホームに入居していただく話が有力だったのです。
しかし、次男さまが奥さまに言った一言でお義父さまの入居が決まりました。
次男さまは奥さまに対してこう言われたそうです。
次男さま「これまでよく頑張ってくれたね、本当にありがとう。
これ以上は老人ホームにお願いしよう。
君が気を病むことはないよ。
君はもう充分頑張ったよ、きっと親父もわかってくれてるよ。
お義母さんが君と一緒に暮らしたがってることは俺も知ってる。これから何年あるか分からないけどお義母さんにはうちに来てもらおう。」
奥さまは涙声でお話されました。
奥さま「主人はそう言ってくれたんです。本当にうれしかったんです。私は母と暮らせます。」
ご家族さまの見解がまとまりました。
老人ホーム選びにおける必須条件と充分条件を伺いました。
老人ホーム探しを開始
奥さまと次男さまで事前に老人ホーム入居についてお話をされており予算などはすべて決まっていました。
◆必須条件
・一時入居金:800万円
・月額利用料:35万円以内
・看取り対応
・長津田駅から1時間圏内
◆充分条件
・特になし
ご予算は充分にあります。
ここで大切なのは認知症に対して最新のケアを行なっている施設選びです。
お義父さまは認知症が進行しており意思疎通も困難で徘徊をしています。
認知症のご入居者さまに対して最新の理論などを心得た介護職員がいる施設を探すことが大切です。
長津田近辺は施設がたくさんあるので選択肢に困ることはありません。
今回のケースでは介護付き有料老人ホームが最適であると考えました。
いくつかピックアップした後、お義父さまの現状をお話ししました。
約半分の施設は実際にお義父さまのアセスメントをしなければ安易に回答できないと判断しました。
残りの半分は徘徊が頻回するようであれば投薬による対応になると判断をしました。
この段階では相談員が施設判断をすることはありませんのでリストの詳細欄に記載してご家族さまにご説明しました。
その中から3つの施設について見学希望を頂くことが出来ました。
見学の詳細については非公開とのご意向を頂いておりますので詳細については割愛致しますが、見学から5日ほどして奥さまより見学した施設の中から一つの施設について契約を進めてほしいとのご連絡をいただきました。
呼び寄せと施設と
お義父さまの入居日が決まり施設前までお伺いいたしました。
お義父さまにご挨拶をしたところ、
お義父さま「うんうん、うんうん」
と、私の手を握ってくださいました。
奥さまから、
奥さま「この度は本当にありがとうございました。」
とのお言葉をいただきました。
入居相談員をしていてこれほど嬉しいことはありません。
次男さまからは、
次男さま「この度は色々とお手数をおかけしましたが一区切りつきました、ありがとう。まだ久我山の家の売却があるのでもう少し手伝ってもらえますか。」
入居相談員として専門的なアドバイスや契約のサポートはしましたがご入居を決めるのはご家族さまでなければなりません。
この仕事は主役になってはいけないのです。
私たちの仕事はご家族さまに必要な情報を必要な時に的確にお伝えし、適正な判断を導き出すためのコンシェルジュでなければなりません。
今回のケースについて奥さまに記事化のお話をすると、
奥さま「主人に話したら、私たちのようなダブルケアの狭間で悩んでいる人に読んでもらえるなら記事にしてもいいんじゃないか、と言われました。
いくつか具体的なところは出して欲しくないですが、記事にしていただいて構いません。」
と、記事化について御了承をいただけたことに感謝しました。
子育てと親御さまのダブルケアというのは昔からあります。
しかし昨今では今回のようなダブルケア相談も増えているのです。
当社のご入居相談は介護資格を持ち、介護現場で働いてきたまた介護士が担当をしております。
介護現場を熟知しているからこそ老人ホーム入居に対するアドバイスができると自負しております。
ご相談は全て無料となっており如何なる理由があっても金銭が発生することはございません。
老人ホームへのご入居に関してまた、現在の状況をどうすれば良いか悩まれているご家族さま向けに無料相談窓口を開設しております。
ご相談はフリーダイヤル、相談フォームからお気軽にお問合せいただけます。
また、今年からLINE公式による相談の受付も開始いたしました。
LINE公式については個人情報を入力せずにお問い合わせがら可能となっております。
専門家のアドバイスやサポートをご検討されている皆さまにおかれましてはお気軽にご利用いただければ幸いです。
専門家のアドバイスやサポートをご検討されている皆さまにおかれましてはお気軽にご利用いただければ幸いです。
Comments