※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
上池台のケアマネジャーから老人ホーム選びの依頼
親子2代で自営業を営んできましたが、お父さまが認知症を発症し、引退してから働かなくなってしまった息子さん。
お父さまの年金とこれまで築いてきた財産を切り崩しながら「ヒキニート」状態でした。
お父さまが利用しているデイサービスの利用料支払いが遅れる事もしばしばとなっていました。
このままではお父さまが亡くなる前に財産がなくなってしまう。
現状を憂いたケアマネジャーさんから、親子関係を修復しつつ、息子さんを自立させたいが自分ではそこまで言えないので相談にのって欲しいというご相談でした。
【補足】ケアマネージャーと表現されるのが一般的ですが正式名称はケアマネジャーとなります。当記事ではケアマネジャー記載としております。
父親と息子さんそれぞれに対する自立支援のご提案
お父さまは、物忘れはひどくなっていましたが社交的な性格でADLも問題なく、声をかければ日常生活動作は出来ました。
※ADLとは日常生活動作(Activities of Daily Living)で最低必要とされる起居動作、移乗、食事、更衣、排泄、入浴、整容のことです。高齢者や認知症、障碍者の日常生活レベルを確認するための指標として使われています。
デイサービスからしたらとても良い利用者です。
ただ、デイサービスの相談員やスタッフは利用する度にお父さまの服の汚れが増していたり、着替えた様子がないことに不安を感じていたようです。
介護職員は資格取得の際にADLはもちろん、虐待についても学びます。
ADLに問題がないお父さまが着替えないということはネグレクトに該当するため気にかけていたのです。
一方、息子さんは理解度とコミュニケーション力が低く、軽い発達障害を感じていました。
目に映るお父さまの姿だけを見て、理解不能な言動や声をかけないと動かない姿に腹を立てているようでした。
認知症ということは理解していますが、その症状がどのようなものかを理解できていませんでした。
理解できないものを受け入れることが出来なくなると人間は攻撃性が増すことがあります。
特に自分よりも弱い立場であると心の中で認識している場合、虐待に近い状態になってしまうことがあるため危惧していました。
これまではお父さまの指示や指導で仕事が成り立っていたのでしょうが、一人きりで仕事をするのは正直厳しいと感じました。
そんな苛立ちから毎日のようにお父さまと喧嘩しており、軽いネグレクト状態に陥っていました。
やはり恐れていたことが現実になってしまったことは残念です。
※ネグレクトとはセルフケアが出来ない方の世話をする立場にある保護者が世話を放棄し、加害者になってしまう行為。 介護の世界では介護士が入居者に虐待行為を行ったり、責務を果たさないこと。
ご相談をいただいたケアマネジャーさんと早急に面談が必要であると感じ、すぐに連絡を取り、息子さんが今思っている事、困っている事、これからどうしていきたいか、などをていねいに聞き取りその日の面談は終わりました。
その後、ケアマネジャーさんとの面談を振り返り、お父さまの介護と息子さんの自立を両立させることは難しいだろうという判断にいたりました。
お父さまと息子さんのそれぞれに対して独立したご提案をする必要があるため、少しお時間をいただいて最善策について検討に入りました。
おおよその対策がまとまってきた2週間後に再び面談し、お父さまは老人ホームに入居していただき、息子さんにはアパートを借りることで息子さん自身の生活に注力してもらう事を提案しました。
今回の面談でわかったことは、息子さんもお父さまから離れたい思いが強くなっており、この点においてご提案内容とご家族さまの意見に相違が無かったことからまず、父親の老人ホーム探しをお手伝いすることにしました。
幸いにも条件と合致し入居可能な老人ホームはすぐに見つかり、費用に関してはお父さまが築いたこれまでの全財産と年金で賄うことができました。
今住んでいる自宅は売却することになりました。
売却は息子さんからの提案で、すでに不動産売却手続きに対して動いていたそうです。
息子さんのこうした動きは自立することを意識したことの表れでもあると感じ、今後の生活に関して安堵感が生まれました。
息子さんとお話する機会がありましたので少し掘り下げてヒアリングをしてみると、前回の面談でいくつか気づきがあったことがわかりました。
1つ目は、お父さまに老人ホームに入居してもらう選択肢が頭に入ったこと。
2つ目は、面談で気持ちを吐き出したことで頭はスッキリしやるべきことが具体的に見えてきたことでした。
前回の面談が終わってから気持ちに変化が出てきて、前に向けて一歩動き出す事が出来たとおっしゃっていました。
息子さんが事前に動いていたこともあり、翌週には息子さんが暮らすアパートも決まり、アパートに引っ越してから新たな職場への就職も決まりました。
施設暮らしのお父さまと息子さまのその後
お父さまは老人ホームにご入居後すぐは上池台のご実家に戻ろうとする帰宅願望がかなり強くでたそうです。
また、息子さまと合えないことから息子さまを心配しているご様子も確認できたそうです。
認知症を発症していますが軽度のため、コミュニケーションは問題なく息子さまのお話は理解されています。
1か月ほどすると施設での生活に慣れてきたご様子で仲の良いご入居者も出来て一緒に囲碁をするなどが報告されました。
お父さまは老人ホームでの生活を心で受け入れたことが分かりました。
次に息子さまですが、就職当初は暗く、遅刻気味だったそうですが雇い主さまがヒキニートに対してとても寛大な心を持っていること、過去に同様のケースで就職支援をしていたことから息子さまもだんだんと仕事に慣れてきたことが報告されました。
今では誰もよりも早く出社し、仕事も丁寧で責任感も出てきたようで雇い主さまから、大事な戦力として重宝しています、といったお言葉もいただきました。
二か月に1回程度、お父さまのいる老人ホームに面会に行っているなど親子関係も少しづつですが修復しているように思えました。
父と息子の二人暮らしでの介護
このご家族さまは少し特殊なケースではありますが、父と息子さんの二人暮らしでの介護に行き詰まり問題を抱えているケースも増えています。
無料相談にはケアマネジャーや病院からご相談をいただくこともございます。
また地域包括支援センターからお問い合わせをいただく場合もございます。
経験上、お母さまと娘さんの二人暮らしに比べて男性の二人暮らしは気づいた時には事態が深刻化していることが多いと感じます。
分析することが専門ではないため感覚的になってしまいますが、男性の二人暮らしの場合、誰かに相談する、という行為をあまりよく思っていないことが多いように思えます。
特にこれまで仕事をバリバリとこなしてきたお父さまに多いように思えます。
1つには職場で困難な状況に陥ってもなんとか切り抜けてきた自信があるのではないかと仮定しています。人間に限らず生きているものは老いには勝てません。
判断力も鈍りますし身体的な行動力も落ちてきます。身体的な行動力が鈍ると判断力や精神力も鈍ってきます。
決してマイナスにとらえるのではなく、仕事がひと段落して新しい人生が始まると前向きに考えることが結果として最善の策になることを私たちは知っています。
ご家族さまやお一人で悩まないでください
介護は常に法律が変更され、新しい施設形態が登場する発展中の世界です。
一長一短ですべてを把握することはほぼ不可能だと思います。
どの施設がご家族さまにとって適切なのかを判断するだけの情報を仕入れることもまた難しい作業だと思われます。
施設の入居資料から中身を読み解くのは本当に難しいと考えます。
そのような状況があるからこそ私たちがいます。
ご家族で介護について疑問を持たれていたり、どのように進めればよいか分からないなどがございましたら、無料相談の存在を思い出していただければ嬉しいです。
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