※相談事例は全てご相談者さまの了承を得て記事化しております。
老健のたらいまわし
老健(介護老人保健施設)におられるお母さまに最期まで居られる老人ホームを探して欲しい、というご相談を頂きました。
久我山にお住いのご家族さまからのご連絡でした。
お母さまは2年ほど老健で過ごされていますがその間、6回も転居されていました。
短くて3か月、長くても1年未満で転居を繰り返すいわゆる「老健のたらいまわし」になってしまっていました。
なんとか一か所でリハビリを続けてほしいと思っていましたがそれが無理だと思い始めていました。
ケアマネに相談しても、ご自宅でケアが出来ないのであれば選択肢としては老人ホームに入居するか、一時的に退所しご自宅で介護を行いながら他の老健に入所してはいかがかと言われたそうです。
ご家族さまはご自宅でお母さまの介護をすることが出来ないため親族に相談をしましたが、親族でも同居はできないと断られてしまっていました。
改善策もなく、老健から老健への転居を繰り返していました。
しかしお母さまはその度に、今いるところでやっとお友達が出来たのになんで移らないといけないの?と寂しそうにされています。
ご家族さまは、これ以上、ここにはいられないので我慢して、と言ってきましたが繰り返しの転居でお母さまが弱ってしまっていることをとても心配していました。
老健をたらい回しにされてしまうのはお母さまに何か問題があるのか?と感じてもいました。
そこでそのことを介護経験のある知人に相談したところ、老健は長期入所の施設ではないから半年ほどで出されちゃうのは仕方がない。
本当にお母さまの事を考えるなら特養とか民間の老人ホームにお願いするしかないよ、と言われたそうです。
そのアドバイスを受けて、老健で入所しているとこれから先もまた転居を繰り返すと判断されたご家族さまは、お母さまのために老人ホーム探しを始められました。
転居しなくても良い施設を
フリーダイヤルにご相談を頂きお母さまのADLを伺いました。
【お母さま:**歳】
食事:普通食(通常食)
歩行:杖歩行/車いす
排泄:自立
更衣:一部介助
義歯:なし
認知症:ナシ
要介護:1
お母さまに認知症はありませんでした。
歩行は杖歩行ですが今の老健では車いすで日中を過ごされていました。
老健からは加齢により、お母さまの歩行が不安定になってきていることから日中は車いすで過ごしていただいている、との報告を受けていました。
そのため筋力が衰えて歩けなくなることを懸念されてもいました。
ご家族さまより、ヒアリングを行う前に施設探しでの希望を伝えたいということでしたので必須・充分条件についてお伺いしました。
◆必須条件
・一時入居金:200万円
・月額利用費:25万円まで
・リハビリに力を入れている施設
・看取り対応可
◆充分条件
・転居したくない
・できれば同じ区内
・特養がOKなら特養に入りたい
老人ホームに入居したらそこで最期まで過ごしてほしい、というのがご家族さまの本音です。
また身体が動く限りはリハビリなどを積極的に受けてほしい、という想いもあります。
お話を伺い今回は介護付き有料老人ホームでリハビリに力を入れている施設が好ましいと考えました。
施設探しを始めるといくつかリハビリに力を入れている老人ホームがありましたのでリストを作りご家族さまにご連絡をいたしました。
久我山のご家族さまへの説明
リストについての説明をするため二子玉川の会議室にてお時間を頂きました。
そこで初めて対面にてご挨拶をしましたが第一印象として、ご家族さまは老健について明らかに不信感を持たれていました。
老健から別の老健に転居する理由に納得できないでいたのです。
転居するということはリハビリが完了していないということなのだから、3か月が経過してもその老健でリハビリを継続してくれればよいのに何故、短期間(3か月から6か月ほど)で対処し別の老健に転居しなければならないのか疑問を持たれていました。
ここで老健について補足をします。
老健は在宅療養支援を行うための施設です。
例えば、骨折などで長期入院をしていた患者の骨折治療が完了しリハビリを行い身体機能の回復などを目的とした入所する施設が老健なのです。
身体機能の改善を目的としているため長期入所で日常生活をする場所ではありません。
従って身体機能が改善したと判断されると退所を求められます。
それならば改善が見込めなければ長期入所も可能ではないか?というご家族さまの疑問が再燃します。
この点については経営戦略となります。
詳しく書くとこの紙面では書ききれませんので簡単に説明すると、たらいまわしが発生する原因として「施設の売上」が挙げられます。
※老健のたらい回しについてはインターネットで調べればたくさんのサイトでその理由を紹介しています。
ご家族さまには、ご入居を検討している老人ホームについてもご説明をしなければならないと思い各施設ごとに詳細をご説明しました。
今回ご提案した施設はすべて看取りOKとなります。
施設内で最期を看取ることが可能という意味です。
ただ、お母さまが医療行為を恒常的に受けなければならない状態になるなどADLが低下し、入居している施設で対応できない状態になった場合は退居しなければならないこともお伝えしました。
また、今回のご予算では24時間ナースが常駐している施設はありませんでした。
例えばお母さまが在宅酸素となるもご自身で酸素の取り扱いが出来ないなどの場合、ナースが常駐している施設へ転居を勧められます。
看取りOKとは入居したら、何があっても最期まで施設で面倒を看てもらえるという意味ではないことをお伝えしました。
これは初めて老人ホームをご利用するご家族さまが勘違いしやすい点となります。
見学した施設へのご入居
ご家族さまよりリストから1つの施設について見学希望を頂きました。
見学時に見ておくべきポイントについてアドバイスを行いました。
※見学時のポイントについては老人ホームの選び方に記載しております。
見学が終了し数日してからご確認のお電話をすると、ご家族さまから見学した老人ホームへの入居希望を頂けました。
改めて空き部屋を確認し、契約手続きのサポートを行いました。
ここで若干の問題がありました。
入所中の老健が転居日についてあまり良い返事をしなかったのです。
そのため転居日が変更になってしまったのです。
ご家族さまとしては一刻も早い転居を希望され受け入れ先の施設も準備を進めてくれたのですが仕方ありません。
この点について入居相談員として意見はありましたが邪推の域を出ない以上、紙面に載せることは出来ません。
最終的にリスケした転居日にてご入居することが出来ました。
元気になったお母さま
施設にご入居してから1か月ほどしてご連絡をするとご家族さまからうれしいお話を頂けました。
入居当初はまた転居するのか、と暗い顔をされていたお母さまですが施設内でお友達が出来てきたこと、リハビリを行うPT(理学療法士)さんをとても気に入りリハビリの時間が楽しいと仰っていることが報告されました。
また、この老人ホームは長くいることが出来るから安心して、というご家族さまの言葉でお母さまはたいそう喜ばれたそうです。
ご報告で個人的にうれしかったのは、ご提案した老人ホームのアセスメントでお母さまは杖歩行で問題ないと判断されたことでした。
疲れている時や歩行が不安定な場合などは安全性を考慮して車いすによる移動などもあるとのことでしたが、スタッフ見守りではありますがお母さまは日々の生活のほとんどは車いすではなく杖歩行で移動でき、杖歩行となっていました。
施設の対応についてご家族さまはとても満足されていました。
直近の面会では、お友達とトランプをするのが楽しみだと言われたそうです。
ご家族さまから施設について納得していただけているとの回答を得たため今回のケースをクローズといたしました。
今回のようなケースはここ数年で始まったことではありません。
当社ではこれまでにも同様のケースを多数手がけてきました。
そこで、老健をたらい回しにされてしまっていることに不安や不信感を持たれているご家族さま向けに無料相談を行っております。
以下より、お気軽にご連絡いただければ幸いです。
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